日本酒の蔵元について 鶴岡市大山

日本酒の蔵元について 鶴岡市大山

2021年8月27日

経堂のスーパーで珍しく父の田舎の日本酒を発見。銘柄は「栄光富士」鶴岡市大山と言う町の蔵元。その大山が父の生まれた町。日本酒の蔵元が沢山ある街みたいです。毎年2月に日本酒祭りが催されるらしいです。

日本酒祭りは有名です。今でも4つの蔵元があります。地元の小林達夫氏が2008年にイベント用に過去の蔵元について調査・発表しました。その書類があります。

大山という町は、戦国時代は武藤家や最上家に支配された土地。上杉・伊達の影響を受けた戦国大名が奪い合った土地です。江戸時代においても徳川方の酒井氏が鶴岡にいましたが、大山地区は独立性が高く、天領になったり自治領になったりを繰り返した町で、鶴岡と隣り合わせの町ですが鶴岡とは一味違います。「大山魂」なる言葉があるぐらいです。誇り高き町ですね。現在は大山1丁目のような住所表記ですが、1970年頃までは武藤氏の山城である尾蒲城の城下町だった影響を受け、城下町としての特有の町名が使われていました。

町名由来
馬町武士が乗る馬を飼育管理していた町
本町・上本町・下本町町人が住んでいた町
殿町武士が住んでいた町
鍛冶町鍛冶屋が住んでいた町
染屋町染物職人が住んでいた町
大工町大工が住んでいた町
銅片町鍋窯の職人が住んでいた町
銅屋町銅細工の職人が住んでいた町
山の手山城の裾野の町
木七町大木が7本あった
安良町商人が住んでいた町
友江大山川の川岸の町
西町西側にある町
南町南側にある町
向町大山川の向こう岸の集落
新町安良町と木七町の隣にできた集落
☆ここ以降は、明治以降の町
上栄町JR羽越本線「羽前大山」駅に伴い出来た町
栄町上栄町と向町の間
天保町南町と上栄町の中間
☆平成以降、便宜上、2~3追加新規の宅地開発による

現在も残っている蔵元は4蔵ある

蔵元所在地創業者銘柄
白梅鍛治町羽根田与治兵衛 白梅
冨士本町加藤専助栄光 冨士
大山本町加藤嘉八郎(冨士の分家)(大山公園を造成した人)大山
白雪友江渡會亥之七白雪
芳之山銅屋町桜井伊右衛門(1972年ぐらいまで存在した)旭桜

もう既に廃業したか、移転した蔵元

蔵元所在地創業者備考
澤之鶴本町田中安兵衛天童市の「 澤之鶴 」と関係はあるのか?
三美大工町坂口喜兵衛
松乃露安良町佐藤惣治郎
吉野川本町富樫権次郎
隅田川本町田中太四郎
松之井本町加藤幸助
朝日山鍛冶町佐藤金左衛門
清井鍛冶町佐藤吉右衛門
蓬莱本町田中要介
小柳本町石田多七
三笠山本町鈴木謙太郎
鯉之瀧染屋町橋本五郎兵衛
相生本町中里四朗右衛門
石之井本町中里幸右衛門
石清水鍛冶町大瀧清介
初音安良町田中三郎治
明烏本町田中八郎兵衛
養老本町大瀧三郎
亀之井安良町大瀧龍助羽黒方面に同じ銘柄が現存する。移転したのか?
応川鍛冶町羽田六兵衛
千歳川鍛冶町石井源右衛門
加茂川本町加藤長三郎
山之井本町渡會格彌
春之日新町田中太郎左衛門
常盤井本町大瀧直之助
瀧門安良町大瀧清三郎
清正本町加藤専十郎
桂川本町田中三郎右衛門
初緑本町加藤幸五郎
白露安良町石井源次郎
菊川木七町羽根田喜惣太
磐清水大工町羽根田与平太
歌川大工町田中三郎兵衛
梅川大工町羽根田嘉右エ門
初菊友江本間八右衛門

とまぁ、優に40蔵元を数えるだけ存在したのだった。米どころであると同時に、きれいな水を井戸水として得ることが出来た土地柄によるものだろう。小学校のグラウンド1面分の広さの井戸を所有している酒蔵もあるらしい。

また、日本酒に関連する業種の事業(例えば、酒樽の製作・酒粕を使った漬物)も多く、酒の職人・樽の職人など、日本全国から修行の為に人が集まった時代もあったらしい。

ただ、商売は下手だと思う。地産地消でそこそこ利益が出るので、あまり県外・国外への販売ルートの開拓には一生懸命ではなかったらしい。県外出荷に関して言えば、AtoCの消費者直販はやっていない蔵元が多い。問屋に卸すのが主流の様だ。

2年ほど前に、かなり大きな地震があり、出来上がった日本酒の樽や瓶が壊れて大打撃を受けた。その時に地元の有志がHPなどを活用して被害にあった蔵元のお酒の全国販売を行ったが、当の蔵元は問屋への仁義を通して、自分から直販は行わなかった。このあたりにも「大山魂」が活きていると言えるだろう。

過去1964年の新潟地震の時にも同様に危機を乗り切った実績があるが故なのだろうか?

大山以外にも多くの蔵元

この大山と言う町以外にも、庄内地方には蔵元が多数存在する。

酒田の「初孫」、羽黒の「竹の露」など、列挙しきれない。

グランさん、貴重な情報ありがとう。